理学療法士は、赤ちゃんからお年寄り、病気やケガでうまく体を動かせない人や地域に住んでいるお年寄りまで、幅広い年齢、ライフステージの人たちが対象になります。理学療法士の仕事の幅も広がり、様々な場所で活躍をしています。
それでは、理学療法士はどんな場所で、どんな人たちを対象に治療しているのでしょうか。働く場所や活躍の場についてご紹介します。
目次
- 理学療法士の働く場所はこんなところ
1.病院/診療所
2.通所リハビリテーション/訪問リハビリテーション/老人保健施設
3.スポーツ分野
4.障害児・障害者施設
5.地域包括ケアシステムの中の理学療法士
6.その他 - まとめ
理学療法士の働く場所はこんなところ
<病院/診療所>
病院で働く理学療法士は、病気やケガで身体機能が低下をした患者の、身体機能・動作能力の回復のサポートが主な業務になります。
病院での理学療法は「手術直後や病気になったばかりで状態が安定していない急性期」「症状が安定に向かっており集中的な理学療法を行うことで成果が得られやすい回復期」「体の機能や障害が安定し自立した生活の支援を行っていく維持期」に分かれています。
また、整形外科、脳神経外科、内科などの科目に分かれており、それぞれの病気や障害によって、理学療法の内容は異なります。病院で働く理学療法士は、様々な病期や、疾病やケガに対応していく必要があります。安全な理学療法を行うため、病院で働く理学療法士は、多くの病気やケガに対する知識を日々学び、治療を行っています。
さらに、病院で働く理学療法士は様々な専門職と協力しながら、治療を行います。これはチーム医療と言い、多職種が連携することで患者が安心できる体制を作る医療モデルのひとつです。医療従事者がお互い対等に連携して患者中心の医療の実現を目指します。
<通所リハビリテーション/訪問リハビリテーション/老人保健施設>
通所リハビリテーション、訪問リハビリテーション、老人保健施設は病院を退院した後の人が対象になります。
通所リハビリテーションは、自宅で生活するお年寄りが、通所リハビリテーション事業所に集まり、身体機能の維持や日常生活が送りやすくなるように理学療法を行います。
訪問リハビリテーションは、理学療法士が利用者の自宅を訪問して行われます。自宅の中や自宅周囲など実際の生活の場で理学療法を行うので、よりその人に合わせた理学療法やトレーニングを提案することができます。
老人保健施設は、病気やケガで長期に入院していたお年寄りが、自宅に戻って生活できるように支援する施設です。入所して、集中的にリハビリテーションを受けることができます。
また、通所リハビリテーションや訪問リハビリテーションの機能を備えている施設もあります。
これらを利用するお年寄りは、病気の状態は比較的安定している方が多く、理学療法士は安定した日常生活を送ってもらう支援をします。生活が過ごしやすくなるように、住環境の調整も行います。
<スポーツ分野>
病気やケガで休養していた選手の競技復帰や再発予防、選手が高いパフォーマンスを発揮できるよう効率の良い動き、正しいフォームの指導を行います。スポーツに関わる理学療法士は、スポーツ選手が治療やリハビリで訪れる病院やクリニック、スポーツドクターが開業しているクリニックなどに勤務しています。最近ではパーソナルトレーナーとしてスポーツジム等に勤務している理学療法士もいます。
<障害児・障害者施設>
生まれつき体に障害がある人や子供たち、病気やケガで体に何らかの遅れがある子供たちにリハビリを行い、その能力を伸ばし身体機能や動作能力の回復を図ります。呼吸状態が安定していない人もおり、その場合は呼吸などの全身のサポートも行います。生活が送りやすいように、車椅子の調整や、足や腕に装着する補装具などの提案も行う場合があります。
さらに、働くための支援や継続するための支援など、活躍の場は幅広いです。
<地域包括ケアシステムの中の理学療法士>
日本は2025年を目途に団塊の世代が75歳以上となり、国民の医療や介護の需要がさらに増加することが見込まれます。このため国を挙げて、可能な限り住み慣れた地域で、自分らしい生活を最期まで続けられるよう、地域の支援やサービス体制の構築、つまり地域包括ケアシステムの構築を進めています。
理学療法士はこのシステムの中で、疾病予防、介護予防のひとつとして、地域のお年寄りに体操指導や運動指導を行っています。体操や運動指導を行うことで、地域のお年寄りの体力や歩行などの改善を図り、自分らしい生活を過ごしやすくするお手伝いを行います。
<その他>
理学療法の活躍の場は、広がってきており、他にも以下のようなお仕事があります。
・大学に勤務し、教育を行う
・理学療法やリハビリテーションの知識を活かし、市役所等に勤め、行政職員として勤務
・理学療法やリハビリテーションに関係する一般企業に勤め、理学療法に関するシステムや機器の開発に携わる
上記のように、理学療法士の活躍の場がさらに広がっています。
まとめ
理学療法士の働く場所や環境、様々な分野で活躍できることをご紹介しました。
現在、理学療法士の資格者が増えてきてはいますが、一方で社会においても理学療法士の需要は高まってきています。どのように働きたいのか、自分の将来やキャリアを想像しながら、モチベーションを高く持って理学療法士を目指していきましょう。