最近テレビやニュースでも、よく耳にするICTやITという言葉ですが、皆さんどのようなものかご存じですか?実はすでに私たちの生活に浸透していて、とても身近であり、なくてはならない技術です。この技術は今、公立学校の教育現場にも活用され始めています。理学療法教育でも、少しずつですが、ICTを活用した教育が広がってきました。「ICTとはいったい何なのか?」「ICTを活用した理学療法教育はどのようなものなのか?」ここで説明していきます。
目次
そもそもICTとはなんだろう?
ICTとは「Information and Communication Technology」の略で、情報通信技術を活用したコミュニケーションのことを指します。私たちが日ごろ使用している、ツイッターやインスタグラムなどのSNSでの情報共有や、インターネット通販、インターネット検索などがICTに当たります。ICTは、すでに私たちの社会に浸透している技術であり、身近なものなのです。
ICTはITとIoTと何が違うの?ITとIoTの意味
ITは「Information Technology」の略で、情報技術という意味です。パソコンなどのハードウェア、ソフトウェア、通信回線などのコンピューター技術そのものを指します。一方で、IoTは「Internet of things」の略であり、モノをインターネットに繋ぐ技術のことを指します。例えば、家電をインターネットで繋げて操作するスマート家電や、健康管理やメッセージの確認ができる腕時計型の小型機器であるスマートウォッチなどがIoTに当たります。
ICT教育とは?
ICT教育は、パソコンやタブレット端末、スマートフォンなどを利用した、通信技術を活用した教育です。教員、学生それぞれが端末を持ち、教員が操作する画面を学生が持つ端末と共有し、授業を行ったり、時には学生自身で端末を操作します。ICT教育のメリットは、教員も学生も楽しく授業を行うことができることです。楽しい授業は勉強への意識が高まり学力アップも期待できます。また、教科書などでは分かりにくかったものが映像や画像などで分かりやすくなるなどが挙げられます。
ICTによる新たな理学療法教育の可能性
理学療法教育の現場でも、ICTの活用は少しずつ広がってきています。例えば、統計学の授業でICTが活用されます。統計とは、実験や研究のデータの整理するためのものですが、理学療法士は研究を行う際に統計を扱うことがあります。そのため、養成校でも統計学を学びますが、その際に、教員がパソコンで統計の手法を実際に行い、その画面を学生のパソコンと共有しながら授業を行うことがあります。
また最近では、タブレット端末で筋骨格の構造を3D画像で確認でき、さらに自ら画像を動かせるアプリケーションが開発され、それを利用したICT教育が行われている養成校もあります。解剖学は養成校に入るまで学習したことがない分野であり、理学療法士を目指す学生は苦手を感じる分野だと思います。その苦手分野を、タブレットを使いながら楽しく分かりやすく学習できることで、学習意欲や理解度が上がることが期待されています。さらに、レポートなどの課題をタブレット端末上でまとめ、タブレット端末を利用し提出するという新たな教育方法も行われています。紙にまとめて提出する手間が省け、効率が上がることが期待されます。 また、教員側も端末上で課題や成績管理も行うことができるので、双方にメリットがあると言えるでしょう。
ICTを活用した社会へ
現在の日本では、人工知能の活用やロボット、IoTなど新たな技術の開発が進み、社会に浸透してきています。それにより、今までの社会になかった新たなサービスが創出され、暮らし方も変わってきました。最近では感染症の流行により、オンライン授業やリモートワークなどICTを利用した教育や仕事も急速に広がってきています。医療介護の分野でも、各領域の連携を高めるために、地域内の病院や診療所、訪問看護ステーション、薬局、介護事業所が患者の情報を共有できるSNSが各地で誕生しています。 また、リハビリテーションの分野でも、運動メニューをクラウド上で選択し、そのまま利用者に提供できるwebサービスなどが展開されてきており、今後理学療法士にもICTを活用する知識や能力が求められます。
まとめ
日本政府では、変化する時代に合わせて、情報活用能力の育成と学校におけるICT環境の整備、ICTを活用した学習活動を推し進めています。全国の公立学校にパソコンや無線LANの設置などの整備が進められており、文部科学省の調査によれば、5.4人に1台程度の教育用パソコンが普及してきています。一方で、ICTを活用した教育を実践している理学療法士養成校は多くはありません。
しかし、時代が変わりつつある今、ICTを活用する能力は理学療法士にも求められています。ICTを活用できるようICT教育を行っている理学療法士養成校を進路の選択肢のひとつとするのも良いのではないでしょうか。 そんな中で、奈良リハビリテーション専門学校は、数少ないICT教育を取り入れている養成校です。