無事国家試験を終えて、晴れて理学療法士になったとしても、スタートはここからです。新入職から定年まで働くとして、あなたは将来どのようにキャリアを積んでいこうと考えていますか?「どのようなキャリアアップがあるのか」についてお話しします。
目次
- 理学療法士のキャリアアップとは?
- キャリアアップの具体的な方法は?
1.資格取得
2.専門性を高めスペシャリストを目指す
3.職場でステップアップ
4.理学療法士の考え方やスキルを生かし他の仕事に就く
5.行政で働く
6.起業する - まとめ
理学療法士のキャリアアップとは?
キャリアと聞くとどのようなイメージを持つでしょうか。偏差値が高い大学を卒業して働くことでしょうか?それとも職場での地位をあげることでしょうか?
キャリアとは、そもそも「より高い専門性を身に着けること」「高い地位に就くこと」という意味が職業上では使用されます。キャリアと聞くと「高い地位に就くこと」がまず思い浮かぶかと思いますが、必ずしも転職して高い地位や高収入を目指すことばかりが理学療法士のキャリアではありません。
理学療法士に必要なのは「高い地位に就くこと」ではなく「より高い専門性を身に着けること」です。現在、理学療法士協会に登録している理学療法士の数は12万人を超えています。職域も広がり、理学療法士の技術や包括的に評価することができる視点などに対し、ニーズは高まってきています。
しかし、国家試験に合格した後、勉強せずにただ治療をするだけでは、変化する時代とニーズに対応できず、対象となる人を思ったように治療できなくなってしまうことや自分の想像した理学療法士像とかけ離れてしまうこともあります。
理学療法士のキャリアアップは、知識や技術を高め、様々な道で専門性を生かしながら、自分らしく働くことが重要です。
キャリアアップの具体的な方法は?
・資格取得
日本理学療法士協会には、認定理学療法士・専門理学療法士という資格が用意されています。資格は、分野ごとに分かれており、自らの専門性を高め、高い専門的臨床技術の維持や理学療法の学問の発展に貢献できる能力を高めていくことを目的としています。また、それ以外にも、心臓リハビリテーション指導士、呼吸療法認定士、栄養サポートチーム専門療法士、認知症ケア専門士、ケアマネジャーなど理学療法士が取得できる資格が複数あります。
理学療法士だけではなく他の資格を持っているということは、臨床現場で専門的な知識を生かすこともできますし、自分が進みたい道が見つかり転職する際には強みになります。
・専門性を高めスペシャリストを目指す
資格を取る、大学院に進むなど、ひとつの分野を極めスペシャリストとして活躍する理学療法士がいます。スペシャリストとして、臨床現場で対象者の治療を行うことはもちろん、養成校の教員として指導やセミナーの開催を行い理学療法士の質の底上げに貢献してくれています。
・職場でステップアップ
臨床現場をまとめる主任や課長など、管理職として活躍する道もあります。臨床知識に加えて、所属課をマネジメントするスキルや後輩や若手の指導教育へのスキルも重要となります。
・理学療法士の考え方やスキルを生かし他の仕事に就く
一般企業へ就職する理学療法士もいます。どんなところで働いているのかというと、経営コンサルや医療介護の人材紹介会社、医療介護の機器の開発営業、保険会社などがあります。理学療法士を対象にして求人をする企業はまだまだ少ないため、就職を希望する際は自分の強みやアピールできるスキルを伝える必要があるとは思います。また、今まで以上に、リハビリテーションの視点が一般社会と連携したときに、さらに新たな発展がありそうで、今後の職域の広がりを期待したい部分でもあります。
・行政で働く
それぞれの自治体などに勤務する理学療法士がいます。施設勤務ではなかなか対応できない地域や政策の課題にアプローチできることが魅力です。
一方で、今まで1対1で治療することが基本の理学療法ではなく、集団や組織などの支援を行う必要があります。
また、行政職員として所属する課の事務的な仕事も行います。リハビリテーション専門職の視点を生かしながら、行政職員として新たな知識を学ぶ必要があるので注意が必要です。
・起業する
原則として理学療法士は、医師の指示のもとに理学療法を行わなければなりませんが、医療ではなくマッサージや健康、美容などの分野で起業する理学療法士たちが増えてきています。
また、リハビリのアプリケーションの開発やセミナー会社の立ち上げなど新規の事業を行う理学療法士も増えています。
まとめ
理学療法士の人数が増えている反面、たくさんの道が広がってきており、様々な市場から理学療法士が求められている状態であると言えます。自分らしく働ける職場に努めることや自分自身で将来の道をつくるためにも、知識や技術を日々磨き、理学療法士としての価値を高めていきたいですね。
学歴や偏差値、社会的な地位にこだわらず、自分らしいキャリアアップを目指しましょう。